学部長挨拶

学部長挨拶

 

工学部長/
大学院工学府長/
大学院工学研究院長
竹澤 昌晃

 

 本学の起源は、明治42年(1909年)に開校した私立明治専門学校に遡ります。九州の炭鉱王・安川敬一郎氏が、工業教育の振興と地域産業の発展を願い、巨額の私財を投じて創設されました。また、日本初の理学博士の一人である山川健次郎先生を総裁として迎え、我が国の近代工業を支える人材育成の拠点として歩みを始めました。

 本学の建学の理念である「技術に堪能なる士君子」は、高度な専門性と創造性を備えるとともに、人間としての品格を持ち、社会に貢献できる技術者を育成することを意味しています。この理念は、国立大学となった現在においても変わることなく、本学の教育の根幹として受け継がれています。

 一方で、皆さんがこれから生きていく社会は、AIやデータサイエンスの進展、さらにはグローバル化の加速により、急速に変化しています。将来を予測することが困難な時代においては、単なる知識の修得にとどまらず、知識を自らの中で咀嚼し、経験と結びつけて「知恵」へと昇華させる力が求められます。本学が掲げる「Impact the Next Industry」というビジョンのもと、皆さんには、社会に新たな価値を生み出す人材へと成長していただきたいと考えています。

 大学での学びは、講義を受けることだけでは完結しません。重要なのは、得た知識を自らの中で深く理解し、「なぜそうなるのか」「どのように応用できるのか」を問い続けながら、思考し、活用できる力へと高めていくことです。変化の激しい時代においては、与えられた知識を受け取るだけでなく、自ら問いを立て、考え続ける姿勢が求められます。

 その上で、1・2年次における基礎学力の修得は、その後の専門的な学びの礎となります。日々の学修に真摯に取り組み、着実に力を積み上げてください。

 さらに、大学生活においては、多様な価値観を持つ人々との関わりの中で、自らの視野を広げていくことも重要です。他者との対話や協働を通じて、自分とは異なる考え方を理解し、相互に尊重し合う姿勢を身につけてください。こうした経験は、技術者としてだけでなく、一人の人間として成長していくうえで欠かすことのできないものです。

 最後に、挑戦と失敗を恐れないでください。学生時代に全力で取り組んだ経験は、成功も失敗も含めて、必ず皆さんの将来の糧となります。主体的に行動し、自らの可能性を広げていくことを期待しています。

 これからの皆さんは、単なる知識の習得者ではなく、未来を創る担い手です。本学での学びを通じて、「技術に堪能なる士君子」としての誇りを持ち、社会に新たな価値を生み出す存在へと成長されることを心より期待しています。